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「核兵器のない世界」へ

岸田首相は広島出身として4人目の首相。

7月の参議院議員選挙に圧勝し、あと3年選挙がない。

首相になってここまでは我慢した、ここから一気に自分色を出していく絶好のタイミングではないだろうか…。


そういう意味でどう動くのか、注目の「8月」であった。

戦争を繰り返さない、被爆国をつくらない、核兵器のない世界を実現する…、

そんな自らの立ち位置を鮮明にして、日本の政権運営をしていくのではないか、

世界をリードしていくのではないか、と期待した。


今年8月6日、岸田首相は広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式に出席するため、平和記念公園にいた。

「本日、広島は被爆から77年となる朝を迎えました。・・

 77年前のあの日の惨禍を決して繰り返してはならない。

 これは、唯一の戦争被爆国であるわが国の責務であり、被爆地広島出身の総理大臣としての私の誓いです。・・

 我が国は、いかに細く、険しく、難しかろうとも、『核兵器のない世界』への道のりを歩んで参ります」

この式辞は過去を踏襲しているとはいえ、広島出身というだけで真に迫るものがある。


そして、

2022年7-8月、核不拡散条約(NPT)運用検討会議に日本の首相として初参加・演説

2023年5月、G7サミットを広島に誘致

やっぱり心の奥底に誰にも言うことのない決意・思いがあるんじゃないか、と思わせた。


しかし、式辞で全く触れなかったことがある。

広島の平和祈念式でどんな誓いを立てても、日本がどうしても参加できないもの、

それは、2021年1月に発効した核兵器禁止条約だ。

これは、核兵器の開発、実験、製造、保有、使用、威嚇などの一切を禁じる条約である。

岸田首相も過去の首相と同じく、全く踏み込むことができなかった。

「岸田文雄」の名を刻むためにも賭けてほしかったが、

結局周りを見渡してこれまで通り派閥のバランスを取っただけだったのか…。

いささか、がっくり。


原爆ドームと灯籠流し(フリー素材より)

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